風磨ちゃんが私をセクガルにしてくれた

 

気づいたら5分以上、薔薇とペンライトを握りしめてひたすら叫んでいた。

 

声を出しすぎて酸欠になりそうで、隣の子なんか2回に1回はむせてるくらい号泣してて、それでも会場全体がひとつになって、彼らの名前を呼んでいた。

 

 

 

 

 

私はSexy鬱を知らない。

 

 

生まれて初めてマトモにジャニーズのデビューを目の当たりにしたのがSexy Zoneだった。

 

 

ワイドショーか何かで見かけた、王子様みたいな白い衣装を着せられた5人組。

 

最年少の子はハーフで、まだ小学生で、みんな薔薇を持たされてて、Sexy Zoneなんて名前をつけられて、自分と同世代の子が最年長で、震災の年だったことは覚えてる。

 

 

 

 

当時はまだ嵐もろくに知らなくて、キスマイのCMを見て「AAAの弟分でもデビューするのかな?」と思っていたくらいの酷さで。

 

 

 

地方紙か何かに載っていた記事を読んだ母に

「上の子2人は別のユニットにいたらしいよ」

と言われて「なかやまゆーまウィズビーアイシャドウ」と呪文のように覚えていた人達の中にいたのかーとぼんやりと思ったくらいだ。

 

リア友との会話にたまに出てきたNYCやら中山優馬という名前はかろうじて知っていても、Jr.なんて全く興味もなかったし、Jr.内でユニットがあるという認識すら無かった。

 

 

初登場のMステはたぶん見ていないし、気がついたら次にSexy Zoneをテレビで見た記憶はMステの「バイバイDuバイ」に飛んでいる。

 

 

当時はジャニーズが気になり始めた頃で、ジャニーズが出てるならとりあえず観ようと軽い気持ちで眺めていたから、トンチキがすぎる衣装と大量のJr.とタモリさんとのトークでドバイの話をしていたことしか記憶にない。

 

方向性が迷走してるのかなぁ?と戸惑いつつ、曲だけはなんとなく耳に残ってはいた。

 

 

 

それからしばらくして、私は嵐のファンになりTwitterを始めた。

 

今まではリア友山田担しかジャニヲタの生態を知らなかったけれど、Twitterやブログを通してたくさんの情報が流れ込んできて、いつのまにかSexy Zoneは上の3人と下の2人に分かれているらしい、と知った。

 

 

 

新曲が出てもソロパートやカメラ割は3人が中心、衣装も違う、プロモーションでバラエティに出てくるのはいつも3人のうちの誰か。

 

 

 

外野にいても、なんだか異様だなと感じていたけれど、下の2人はまだ小さいから仕事内容に制限があるのかな、と思っていた。

 

 

 

ある日、Sexy Zoneが3人でCDを出した。

さすがの外野もびっくりだった。

 

Sexy Zoneの内から3人が曲を出すんじゃなくて、3人しかいないのにSexy Zoneとして曲を出して、大量のJr.を背負ってステージに立って3人だけでパフォーマンスしていた。

 

 

 

3人だけで歌番組に出て、中居くんやタモリさんにいじられて困ったような顔をしていた3人はやけに記憶に残っている。

 

 

 

おかしいよ、間違ってるよ、と無性に叫びたかった。

 

 

曲を出すのは3人なのに、売り上げに加算されるカードは5人の仕様だったり、聡ちゃんとマリのファンの戸惑いと怒りと諦めや、3人のファンと2人のファンの確執だったり、もう何ヵ月も地上波の番組にSexy Zoneとして出演できていない聡マリのこととか、どんどん痩せて顎が尖ってきて顔つきが変わってきた勝利とか、ことあるごとに強めの言葉を吐いてそれを叩かれて、いつも何かと戦っているように世間を睨みつけていた風磨ちゃんとか、とにかく前だけを見て、踏ん張って、今を精一杯生きていたケンティとか。

 

 

ファンでもなかったのに、ずっとずっと心配していた。

 

初めて見たときに「王道アイドルだなぁ」と感じた、キラキラした少年達の輝かしい道のりが待っていたはずの未来に、どうしてこんなことが起きているんだろうと不思議だった。

 

菊池風磨という人が好きになってからも、どうしてもそこに踏み入る勇気は無かった。

 

 

メンバーの2人が明らかに3人と違う待遇を受けているグループを今さら好きになったとしても、これから先に自担が同じ目に遭わないとも限らないと怯えたからだ。

 

 

 

MステのSPで、客席から女性ダンサーが出てきて3人と踊ったとき、心の底からふざけんなと思った。

 

 

デビュー組なのに「次のシングルは何人で出すのか」「次のコンサートに彼らはいるのか」と心配するファンが、気の毒だと思っていた。

 

 

 

菊池風磨という人間が好きになったけれど、深入りしないことにした。自分が傷つくのが嫌だったから。

 

 

ずっと遠くから様子を伺っていて、一人で悶々としていた。

 

 

 

ある日、それは唐突に終わった(ように外野は思った)。

 

 

 

彼らはまた5人でCDを出した。

 

いつのまにかマリウスは誰よりも大きくなっていて、聡ちゃんは信じられないくらいイケてるDKに成長していた。

 

5人で披露した新曲は、新しいSexy Zoneを予感させた。

 

風磨ちゃんが髪を短くしたときに「え??自分で似合ってると思ってるの?」と暴言を吐いたことを覚えている。

今でこそ、あの可愛らしい後頭部を強調するような髪型の風磨ちゃんが大好きだけど、いきなりだったので当時は勝手に動揺していた。

 

 

そして風磨ちゃんがドラマに出ることになり、痩せて雰囲気がかなり変わった。

 

 

 

それまでは「Sexy Zoneだったら菊池風磨が好き」だったのが「風磨ちゃんめっちゃ好きなんだけどマジでしんどい」に変わった。

 

 

 

翔平に夏も恋も持っていかれて、とうとうSexy ZoneのFCに入った。

 

本当は、会員証が違う色になってからにしようと思っていたのだけど、今しかねえと思って勢いでSexy Zoneに振り込んできた。

 

緑色の会員証は他のグループに比べてわりとペラペラだったけれどやたらとキラキラしていた。

 

 

 

 

私には、FCに入会して一番好きなメンバーに登録した人だけを自担と呼ぶマイルールがある。

会員証が届いたその日から、風磨ちゃんのことを自担と呼び始めた。

 

 

 

 

 

2016年8月。

 

私は初めてジャニーズのコンサートに行った。

 

嵐の Japonism Show in Arena の横アリ最終日1部。

 

同行者もいない、会場で待ち合わせするような人もいない、ボッチ参戦。

 

 

今まで散々、嵐ファンの中でコンサートのマナーとか嵐コールの速さとか新規の振る舞いに関する愚痴とかを目にしてきたド新規の私は、出来る限り予習をしていった。

 

 

周りのファンから白い目で見られないように必死だった。

 

 

ところが、不安と期待で吐きそうだったけれどずっとずっと楽しみにしてきた、この日を夢見てきたはずだったのに、公演後に残ったのは嵐に逢えた喜びではなく、自分一人では抱えきれないほどの失望だった。

 

 

 

嵐コールがほとんど無いまま始まり、MCで嵐本人達からそのことを指摘された。

 

こっちの方で聞こえた、と大野さんが指差した方から、確かに、微かに嵐コールは起こっていたけれど。

 

 

開演5分前になってもアリーナ席へと移動する人は後を絶たず、私の後ろの席では長年の嵐ファンらしきおばさんが、直前になって駆け込んできた若い女性と「あなたどこから来たの」「北海道です」なんて会話を悠々としている。

 

西スタンド席の私の周りはほとんど座って喋っていて、PTA集会で学校に来た保護者みたいな呑気さだった。

 

ビックリしたし、まばらな嵐コールの中で始まった嵐コンが自分の初めてのコンサートであることが悲しかった。

 

自分一人でも声を出していれば良かったのかな…と後悔したけれど、明らかに何度も嵐コンに入っているだろう人達が何一つ手本を示してくれない中で、新規が何をやれると言うのか。

 

 

MCで「初めて嵐に会った人」と聞かれて半数近くが手を挙げたことに嵐は驚いていた。

 

そりゃそうだ、彼らからしてみれば横アリで昔から応援してくれているファンとの同窓会のようなつもりで来てみたら嵐コールも無いほとんど新規のファンだらけのコンサートだったのだから。

 

Everybody前進の時に、皆さんご一緒に!と煽られた瞬間、固まった新規の反応を見て櫻井さんが瞬時に「わっかんないよね!」と言ったことを今でも覚えている。

 

 

確かに、振り付けを知らなかったけれど。

 

 

その瞬間に、私はここに来るべきじゃなかったと悟った。

 

 

アリーナツアーが当たってもしばらくは誰にも言えなかったことを思い出した。

 

 

Twitterで有名な嵐ファンとか、身近なフォロワーさんとか、初めての顔認証付きデジタルチケットを手に入れられなかった人はたくさんいて、その中には少なからず、私みたいなド新規がアリーナツアーに入ることに抵抗を感じている人がいたから。

 

 

黄色い会員証のファンだけ限定にして欲しい、と言っている人も見かけた。

 

 

色んな複雑な思いがあっても嵐に会えれば全部吹き飛ぶと思っていたのに、はっきりとド新規の私は置いていかれた。

 

 

 

アリーナツアーが当たっても幸せになれないなんて、嵐ファンでいるのは苦しいと思った。

 

 

 

 

 

その日、やけくそみたいにサマパラのチケットを探した。

 

セトリも何も知らなくて、Twitterで見かけたオルナシのC&Rだけ予習してから風 are you?へと向かった。

 

考えてみれば、遡ること2年前、初めて嵐に関することで東京まで出てきたのがTDCホールでのピカンチハーフの上映だった。

 

2年後にまさか、1バル最後列から菊池風磨を見つめているとは思わなかったけれど。

 

 

 最後列だから振り付けを間違えようと何しようと誰にも見られなくて気楽だと思っていたし、ペンライトも何も持っていなかったのでその日買ったミニ団扇だけを大事に握りしめて開演を待っていた。

 

 突如鳴り響いた音楽とOP映像で既に引き込まれていた。

 

 

 It's Going Down !の曲名すら知らなかったのに、気づけば周りに合わせて声を上げ、腕を振り、初めて生で見る菊池風磨の脚の細さに驚愕した。

 

 

つい先日までテレビの中で深町翔平だった人が現実に目の前にいて、今まで知らなかった世界を見せてくれた。

 

知らない曲でもモニターを見ればC&Rも出来たし、歌ってと言われたら懸命に周りに合わせて歌おうとした。

 

風磨ちゃんがとにかく優しかった。

 

「歌える?」と優しく尋ねてきて、「ほら来るよ」と教えてくれる。

歌い終えたらすぐにニヤッと笑って「出来んじゃん」と褒めてくれた。

 

たった数日前に嵐に置いていかれたド新規にすら、その場で一緒に風 are you?という空間を作り上げることを許してくれた。

 

なにより、TDCには風磨ちゃんとその仲間たちのことをただただ愛している人しかいなかった。

 

この人はなんて格好良いアイドルなんだろう、とクラクラした。

 

 

風磨ちゃんが作り上げた世界では、深く息をすることが出来た。

 

たった数時間で、風areyou?のメンバーのことを好きになった。

 

アイドルのコンサートを見ているのではなくて、彼らの過ごす夏の風景を1ページだけ切り取ってプレゼントしてくれているみたいだった。

 

 

終演後、会場から出るとファンが口々に「楽しかった!」と興奮していた。

 

その光景すらも嬉しくなった。

 

 

ここから外の世界へ出ていく人は全員、風磨ちゃんが魔法をかけてくれたから、最高に楽しい夏の思い出を胸に、明日から頑張ることが出来るのだと思うと、誰でもいいから風磨ちゃんがどんなに素敵な自担なのかと言うことを聞いてほしかった。

 

 

しばらくしても余韻から覚めることはなくて、私はSexy Zoneのコンサートに行けたとしても風磨ちゃんのサマパラの方が楽しく感じてしまうんじゃないかと思うようになった。

 

 

 

実際に、ウェルセクとサマパラを比べてみても自分が再生した回数が多いのはダントツにサマパラだった。

 

サマパラの他の公演を円盤で見て、ケンティの公演には入ってみたかったなぁと思ったりしたけれど、Sexy Zoneとしてのコンサートを風areyou?より楽しいと思えるようになるとは思えなかった。

 

なんとなく見るのを躊躇していた聡マリ公演を見て、シングルメドレーで息が止まるかと思った。

 

 

2人はあの頃を無かったことにしようとなんてしなかった。

 

 

3人が出した曲を、3人しかクローズアップされていなかった曲を、全力で歌い踊っていた。

 

そこには間違いなく意思が込められていて、聡マリは聡マリだけの力で、あの頃に関する全てを自分達のパフォーマンスで粉々に葬り去ってみせた。

 

だから、「あの頃」はそこで終わりだと思っていた。

 

 

 

 

 

 

そして、今年初めてSexy Zoneのコンサートに当たった。

 

自分の誕生日に、立ち見席とはいえSexy Zoneに逢えることが嬉しかった。

 

名古屋公演に参戦したファンが興奮したようにツイートをしているのを見て、初めて見るSexy Zoneへの期待がどんどん膨らんでいくのを止められなかった。

 

 

 

 

 

 

初めてのSexy Zoneのコンサートが

 

5TAGEで良かったと心の底から思った。

 

 

 

 

 

一瞬も目を逸らさせない演出が、私の好きな人の作ったものであることが。

 

 

メンバーの魅力を一番引き出せると語っていた風磨ちゃんが、有言実行以上のものを見せてくれたことが。

 

 

菊池風磨を好きになって良かったと何度も何度も何度も叫びたかった。

 

 

 

 

私が怖くて近づけなかった腫れ物のようなSexy Zoneはもうどこにも見当たらなくて、STAGEに立った5人は、5人で、5人だけで、5年間の全てをファンにぶつけていた。

 

 

ド新規でゴメン、自分が傷つくのが怖くて近づけなかったのに、そんな私すらまとめて幸せにしてくれてありがとう。

 

ずっと闘ってきてくれてありがとう。

 

 

 

 

 

 

オーラスの地は横アリ。

 

去年あんなに失望したあの場所で、世界で一番美しい涙と笑顔を見せてもらった。

 

 

聡マリの泣き顔と、5人で肩を組んで1つになって、STAGEの真ん中で泣きながら歌ったCongratulation

 

 

この瞬間に、本当に、あの頃が終わったんだと分かった。

 

 

 

もうこれから先、離れたりしない。

 

あの頃の亡霊にとり憑かれたりしない。

 

 

 

5人は5人の力で、Sexy Zoneの第2章を始めた。

 

誰かに許されるでも、赦されるでもなく、5人が5人のことを許して、赦して、全部壊して、5人で歩いてくことにしたのだと感じた。

 

 

 

 

 

Sexy Zoneのコンサートは、私の中のサマパラの記憶を飛び越えていった。

 

 

そのことがとても嬉しかった。

 

 

きっと風磨ちゃんはもっともっと新しい世界を、素晴らしいSTAGEを見せてくれるから、死ぬまで着いていきます。

 

 

 

風磨ちゃん、ありがとう。

 

 

 

 

あともう1つ。

 

 

 

私が夢にまで見たジャニーズのコンサートを、横アリで見せてくれてありがとう。

 

 

歓声と熱気と、拍手と薔薇と、涙と笑顔で埋め尽くされた、Sexy Zoneとファンが作った空間で、一緒に誓わせてくれてありがとう。

 

 

 

ありがとう、Sexy Zone